終活の第一歩は身の回りの整理(断捨離)からがお勧め
はじめに
まずは「終活」とは何かをおさらいしてみましょう。
「終活」とは「人生の終わりのための活動」の略です。 従って「終活= 死の準備」と思っている人が多いのが現状です。 一方で「人生のエンディングを考えることを通じて自分を見つめ、今をよりよく、自分らしく生きる」ために終活を行うことが重要視されています。年齢を重ねるについれて誰にでもある心配事 (例えば介護、相続、保険、お墓、お葬式のことなど)を 事前に考え準備して老後生活の不安を解消し、いきいきとした セカンドステージを送ることこそが「終活」の真の目的です。
一般的に終活をはじめる年代は、60~70代という人が多いのが実態です。 これは年齢を重ねるにつれて「思うように行動できなくなるのでは」という不安がともなうからと考えられます。一方で 40代や50代から終活をはじめるケースも増加しています。年齢にとらわれず「終活をしたい」と思ったときに考えれば良いのですが、 例えば
・自分と家族の健康に不安を感じた時 ・定年になった時 ・家族や友人が亡くなった時
などは良いきっかけですね。
FPが考える終活の9事項とは
さて、筆者がFPとしてお勧めする九つの活動は以下の通りです。
1.身の回りのモノの整理(断捨離)
2.医療の準備:保険などの見直し
3.介護の準備:介護認定、介護施設の選定など
4.財産整理:生前贈与や相続税資金確保など
5.相続準備:相続リスクの検証、対策
6.葬儀社の選定と内容:葬儀スタイルを決める
7.墓などの準備:無い場合
8.遺言書の準備:争族にしない為に
9.エンディングノートの準備:自分の想いを伝えたい
活動の詳細は以下のコラムで説明していますので、参照下さい。
身の回りの整理(断捨離)から始める
ではいったい何から始めれば良いのでしょうか。計4回の相続に関わった筆者の経験からは、絶対的に「身の回りの整理(断捨離)」がお勧めです。
そもそも「断捨離」とは、自分と向き合って、暮らしの中で本当に必要なものだけを選ぶ作業の事です。ただ単に物を捨てるという意味ではありません。名前の由来は、ヨガの断行、捨行、離行から生まれた言葉なんだそうです。もったいないという固定概念から解放され、身軽で快適な生活を得ることが目的で、執着から離れ、取捨選択を行い、本当に必要なものだけにすることを言います。
断行とは:本当に必要なもの以外を買わず、いらないものを断つこと。
捨行とは:家にある自分のものでいらないものを捨てること。
離行とは:これはいつか使いそう、何かに使えるかも、という執着から離れること。
この三つの感じを合わせて断捨離という造語ができたそうです。
とある統計によると、家族の死後に困った事の第一位は「遺品整理」だったそうです。筆者の4回の相続も、最も苦しめられたのは「遺品整理」ならぬ空き家のお片付けでした。その中でも一番大変だったお片付けは自分の父親が亡くなった後でした。実はこの件は現在進行形のお話でして、こうしてコラムを書いている今日も空き家のお片付け作業を終えて原稿を書いている次第です。
筆者の父親は最低限のエンディングノート的な物は残してくれたので、遺産相続自体は税理士に依頼する事なく、FPの自分だけで済ませる事はできました。しかし、残された空き家の問題は別でした。筆者の父親の場合、元々物を捨てられないという性格もあり、亡くなる前は体力の問題もあり、実家はほとんどゴミ屋敷同然でした。筆者が片付けても片付けてもゴミは蓄積するばかりで、存命中はこの繰り返しでした。
その様な事もあり、亡くなった後の片付けには今現在も苦労させられています。
何故「断捨離」が一番か、それは他の活動に比べて「気力」と「体力」を必要とするからです。家の中には何十年と生きてきた証として物が溢れかえっています。その様な状態から本当に必要なものだけを選ぶという作業は簡単に終わるはずもありません。相当な「気力」と「体力」が必要になりますので、可能な限り元気な内(つまり若い内)に済ませておく事が必要です。エンディングノートを準備する場合でも、身の回りの整理ができれば簡単に書く事も可能になるでしょう。こう考えると理由は明白ですよね。
おまけ
「断捨離」をお勧めする理由をもう一点、それは・・・他人(家族も含めて)に見られたくない物は真っ先に処分しておく事です。この様なコラムにあからさまに書く事は控えますが、男性であればおよそ何かは想像できますよね。これらが遺品として出てきたら面目丸潰れです。この様な物は真っ先に「断捨離」で処分しておく事をお勧めしたいと思います。
まとめ
さて、今回は終活の中でも第一に実施していただきたい「断捨離」について書かせていただきました。「断捨離」は気力と体力がある若い内に済ませておく事が重要です。第二、第三の人生を送る上でも身を軽くしておくメリットは計り知れません。是非実行に移してみて下さいね。
誰でもFP相談室 村上