デジタル・トランスフォーメーション株式ファンドのその後
デジタル・トランスフォーメーション株式ファンドとは?
以前コロナ禍の真っ最中、某N銀行の営業担当者さんから強力に勧められた2020年8月にできたばかりの新興ファンドで、愛称はゼロ・コンタクトだそうです。営業担当者さん曰く「これから伸びるビジネスに投資するファンドなので、買っておいて絶対損は無いですよー」でした。よく聞く営業トークですね。
主な特徴は
・日本を含む世界各国の上場株式の中から、ゼロ・コンタクト・ビジネス(非接触型ビジネス)を行う企業の株式などに投資を行う。
・株式の銘柄選定にあたっては、各企業の成長性、収益性、財務健全性、流動性等を勘案して行う。
・外貨建資産への投資にあたっては、原則として為替ヘッジを行わない。
・ファミリーファンド方式で運用。
というコロナ禍ならではのファンドです。例えば、オンラインミーティングで一躍有名になったZOOMは代表的な投資先です。
その当時の1年間の運用成績は・・基準価額は45%上昇、純資産も7千億円と悪くはありません。でも騰落が激しそうで、株価指標にはあまり連動していそうもありませんでした。
問題は手数料で、購入時手数料は3.3%、信託報酬は1.7985%と結構お高めです。筆者は自分のお客様には基本ノーロードファンドをお勧めしています。3.3%という数字はありえない数値なので、当然のことながら丁重にお断りし、面談は終了とあいなりました。
現在の基準価額は?
さて、あれから約3年、以前の様なコロナ禍も一応は終息し落ち着いた現在、以前某N銀行さんから強く購入を勧められたゼロ・コンタクト・ビジネス(非接触型ビジネス)を行う企業の株式などに投資を行う「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」がその後どうなったのか、興味があって調べてみました。以下の図は、あれから現在まで、2年4カ月後の基準価額の推移です。
購入を進められた時の基準価額は14,595円でしたが、その後は下がりに下がって2023年10月23日現在ではたった6,003円です。仮にあの時に100万円分購入していたら現在は41万円、59万円の大損ですね。おまけに信託報酬は1.7985%と結構な額を引かれていますから、さらに悲惨な結果になっていたところでした。
ファンドの選び方に注意
私はこの様なファンドは購入しませんでしたが、投資初心者の方が金融機関の窓口で営業担当者から強力に勧められたら、ついつい口車に乗せられて手数料の高い(将来が不透明な)ファンドを買わされてしまうのでしょうね。この様なファンド、購入時手数料は3.3%、信託報酬は1.7985%と売る側にとっては非常に利益率の高い(おいしい)ファンドですが、買う側には何もメリットがありません。金融機関の窓口で相談して購入できることは初心者には安心である反面、最低限の基礎知識がないとついつい買わされてしまう可能性が高いことを我々は認識しておかねばなりません。
当事務所では定期的に資産運用の無料セミナーを開催していますので、是非この場を活用して基礎知識を習得し、決して「葱しょった鴨」にならない様に注意しましょう。
エニーライフラボ