確定拠出年金 最近の改正点を理解する

はじめに

確定拠出年金は加入者ごとに拠出された掛金を加入者自らが運用し、その運用結果に基づいて給付額が決定される年金制度です。掛金額(=拠出額)が決められている(=Defined Contribution)ことから確定拠出年金(DC)と呼ばれています。そして、この確定拠出年金には、企業型確定拠出年金(企業型DC)と、個人型確定拠出年金(iDeCo)の2種類があり、一つは企業が掛金を拠出し、従業員本人が運用する企業型確定拠出年金(企業型DC)、そしてもう一つは自分で掛金を積立てる個人型確定拠出年金(iDeCo)です。
この確定拠出年金、従来から細かな改正を経て現在に至っていますが、今年は我々の利便性に大きく効く制度改正点が施行されました。そこで今回は、その中でも最も効果の大きい改正点3項目について解説したいと思います。

ちなみに、確定拠出年金の基本的な事は下記記事をご参照下さい。

受給開始時期の選択肢の拡大

2022年4月1日施行の受給開始時期の選択肢の拡大です。
2022年4月から、公的年金の受給開始時期の選択肢の拡大に併せて、確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)における老齢給付金の受給開始の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられました。つまり、新しい制度では確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)における老齢給付金は60歳(加入者資格喪失後)から75歳に達するまでの間で受給開始時期を選択が可能となった訳です。70歳時点で現金化する必要が無いのであれば、今までより5年間長く指図運用できるので、ありがたい制度改正だと思います。

企業型DC・iDeCoの加入可能年齢の拡大

2022年5月1日施行の企業型DC・iDeCoの加入可能年齢の拡大です。

企業型DCの場合
従来、企業型DCでは、加入者は60歳未満の厚生年金被保険者60歳以降は、規約に定めがある場合、60歳前と同一事業所で引き続き使用される厚生年金被保険者について65歳未満の規約で定める年齢まで加入可能でした。
新しい制度では、厚生年金被保険者(70歳未満)であれば加入者となることが可能となりました。(ただし、企業によって加入できる年齢などが異なるので注意が必要です)

iDeCoの場合
従来は60歳未満の国民年金被保険者が加入可能でしたが、
新しい制度では国民年金被保険者であれば加入可能となりました。60歳以上の方は、国民年金の第2号被保険者又は国民年金の任意加入被保険者であればiDeCoに加入が可能となりました。海外居住者も国民年金に任意加入していればiDeCoに加入できるようになりました。

企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和

最後がつい最近、2022年10月1日施行された企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和です。

従来は、企業型DC加入者のうちiDeCoに加入できたのは、iDeCo加入を認める労使合意に基づく規約の定めがあり、かつ事業主掛金の上限を月額5.5万円から月額3.5万円(確定給付型にも加入している場合は、2.75万円から1.55万円)に引き下げた企業の従業員に限定されていました。

新しい制度では、企業型DCの加入者は規約の定めや事業主掛金の上限の引き下げがなくても、iDeCoに原則加入が可能となりました。
ただし注意事項があります。
・企業型DCの事業主掛金額とiDeCoの掛金額は下記表の通りです。
・企業型DCの加入者掛金の拠出(マッチング拠出)を選択している場合や、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金が各月の拠出限度額の範囲内での各月拠出となっていない場合は、iDeCoには加入できません。

企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金の拠出限度額
iDeCoの掛金額は、月額2万円(DB等の他制度にも加入している場合は月額1.2万円)、かつ事業主の拠出額と合算して月額5.5万円(同2.75万円)の範囲内に限られます。

企業型DC加入者のiDeCo加入要件(企業型DCの年単位拠出の取扱い)
企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金については、平成30年1月から任意に決めた月にまとめて拠出(いわゆる年単位拠出)することも選択可能となっていますが、今回の要件緩和は、事業主掛金とiDeCoの掛金について、各月の拠出限度額の範囲内での各月拠出に限ります。事業主掛金が各月の拠出限度額の範囲内での各月拠出となっていない場合は、当該企業型DCの加入者はiDeCoに加入することができません。

企業型DC加入者のマッチング拠出とiDeCo加入の選択
マッチング拠出を導入している企業の企業型DC加入者については、マッチング拠出とするかiDeCoに加入するかを加入者ごとに選択できる様になりました。

まとめ

2020年以降、確定拠出年員制度は細々と改訂されていますが、今回はその中でも
・受給開始時期の上限が75歳に延長された事
・企業型DC・iDeCoの加入可能年齢が拡大された事
・企業型DC加入者がiDeCoに加入しやすくなった事
の3点について説明させていただきました。なかなか制度全体を理解するのは大変ですが、今回の改正点は私達が直接恩恵を受ける内容でもありますので、変更点を理解して上手に利用できれば良いかと思います。迷ったらお近くのFPさんにご相談下してさいね。

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