年金額を自分で計算する2【老齢基礎年金編】
老齢年金とは、高齢になった時に受け取れる年金です。老後の生活を送るにあたって、生活費のメインになる収入となります。老後のセカンドライフに備え、受け取れる老齢年金の種類や仕組みをしっかり押さえ、自分でも受給額を計算できる様にしましょう。第二回目は老齢基礎年金について解説します。
目次
老齢基礎年金とは
いわゆる国民年金と呼ばれている部分で、国民年金や厚生年金保険などに加入して保険料を納めた方が受け取る年金です。現役時代の報酬とは関係なく、加入期間に応じて年金額が計算されます。
受給資格要件
受給資格期間(保険料納付要件)として10年以上が必要です。保険料を納めた期間と保険料の免除を受けた期間を合算します。 受給資格期間=保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間(カラ期間)
受給年齢
65歳。65歳に達した月に受給権が発生し、支給はその翌月から開始されます。
繰り上げ支給
本人の希望によって繰り上げ支給が可能ですが、繰上げした月数に応じて1カ月あたり0.5%減額されます。最大60カ月の繰上げが可能ですが、この場合、30%の減額となってしまいます。
繰下げ支給
繰り上げ支給と同様、本人の希望によって繰り下げ支給が可能です。繰下げした月数に応じて1カ月あたり0.7%増額されます。最大60カ月の繰下げが可能ですが、この場合、42%の増額が可能です。
任意加入制度
60歳までに老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため、老齢基礎年金を満額受給できないというような場合、60歳から65歳までの5年間、任意に国民年金の保険料を納めることで、老齢基礎年金の額を増やすことができます。
追納
学生納付特例制度などによって保険料の猶予を受けた人が、その後、経済的に余裕ができた場合、本人の申出により承認を得て、その承認月前10年以内の免除や猶予された月分の保険料の全部または一部を納付することが可能です。学生納付特例制度の詳細については下記コラムをご参照下さい。
年金額の計算方法
では、実際に年金額を計算してみましょう。以下の計算式で老齢基礎年金を算出します。
現役時代の報酬とは関係なく、加入期間に応じて年金額が計算されます。
781700円 x (納付月数 + A + B) / 480か月
A:国庫負担割合が3分の1の期間(平成21年3月まで)
B:国庫負担割合が2分の1の期間(平成21年4月以降
ちにみに、老齢年金の制度改正前は、60歳から老齢基礎年金に相当する定額部分を受け取る事ができました。定額部分は 1,628 円 × 支給率 × 加入月数 で計算され、現在の老齢基礎年金よりも若干受け取る額が多くありました。そこで定額部分の額と老齢基礎年金額の差を経過的加算と言い、老齢基礎年金に上乗せして受け取る事ができます。
最後に
さて、ここまでの話を聞いて一つの疑問を持たれた方も多いかと思います。このコラムの主な読者の大半は50歳代以降だと思いますが、皆さんの学生時代は国民年金保険料なんて納めなくても良かったですよね。現在50歳代以降の人が学生の頃、国民年金は強制ではなく、任意加入でした。20歳以上の学生で国民年金が強制加入となったのは、1991年4月からです。従って、現在50歳代以降の大半の方は老齢基礎年金の加入期間が480カ月(40年)に満たないため、残念ながら満額の78万円を受け取る事ができません。満額を受け取る為には任意加入制度を使って保険料を納める事ができますが、これまた残念な事に60歳以降も会社員として働いている場合(厚生年金加入者)は対象となりません。この部分の詳細は、老齢厚生年金の後で説明をしたいと思います。
誰でもFP相談室 村上
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