初めての株式投資 まずは株の基本を理解する(後編)

株価
後編を始めるにあたって
解説

前編では実際に株式投資を始めるにあたり、押さえておくべき基本事項(株式投資とは何か)を中心に説明させていただきました。 株式を売買する行為によって得られる売却益(値上り益)、配当金、株主優待は非常に魅力的です。株価が決まる要因など、押さえおくべき事は色々ありますが、株式投資は決して難しい事ではありませんので、是非一歩前に進んでいただきたいと考えています。
そこで今回は実践編として、実際に株式を購入する場合を想定し、最低限知っておくべき取引のルールや企業業績の評価方法などのお話をしたいと思います。

株式取引のルール
株

まずは株式を実際に売買するにあたって、最低限知っておいて欲しい5つの基本ルールから本編を始めたいと思います。

1.取引できる時間は?
 東京証券取引所の場合、原則平日の午前9時から11時30分、午後12時30分から15時と決まっています。意外と短いと思われるかもしれませんね。

2.銘柄コードとは
 上場株式には「銘柄コード」という4ケタの番号が決められています。トヨタ自動車(株)の場合7203、 (株) 日立製作所の場合は6501と決まっています。例えば日立と言いっても (株) 日立製作所、日立建機 (株) 、日立金属 (株) 、日立造船 (株) 、 (株) 日立物量など似たような名前の企業があり、名前だけでは間違いやすい為、銘柄コードで識別がされています。

3.注文方法は2種類
 購入する場合の注文方法は2種類あります。
・指値(さしね)注文
「○○円より安ければ買いたい」「○○円より高ければ売りたい」と値段を指定する注文方法です。
 自分の希望通りの価格で取引できるのが最大のメリットですが、取引が成立しない場合もあります。
・成行(なりゆき)注文
「いくらでもいいから買いたい(売りたい)」と値段を指定しない注文方法です。
 指値(さしね)注文に比べて売買が成立し易い注文方法ですが、 想定外の高値で購入、安値で売却する様な事態も考えられます。

4. 取引の原則
 取引にあたって、二つの原則がある事を覚えておきましょう。
・価格優先の原則
 買いの注文は「高い値段が低い値段より優先」されます。
 売りの注文は「低い値段が高い値段より優先」されます。
・時間優先の原則
 先に出された注文が、後に出された注文より優先されます。

5.売買代金の受け渡し
 売買が成立した際には受渡の準備が行われ、売買が成立した日(約定日:やくじょうび)から数えて
 3営業日目に代金と株の受け払いが行われます。(下図)

株式購入の実際

取引の単位

基本は1単元(=100株)単位での取引となります。例えばトヨタ自動車(株)の株価 9,460円* を購入する場合、1単元(=100株) 分、つまり94万6,000円を最初に準備する必要があります。
例えば任天堂(株)の株価 5万1,170円* を購入する場合、1単元(=100株) 分、511万7,000円を 最初に 準備する必要があります。
後者の任天堂(株)の例は極端に高額になる場合ですので例外としても、一般的には概ね100万円前後の資金が必要になると言えるでしょう。従って、複数の株に分散投資するには数百万円程度が必要になるという事になります。 (*株価は2021/8/27現在 )
これでは一般の投資家は手が出せないですよね。そこで、少ない元手でも購入できる株式を狙う方法、またはミニ株投資という手法もあります。詳しくは下記コラムで説明をしていますので、興味のある方は是非参照してみて下さい。

株取引にかかるコスト

株式は証券会社を通じて売買することになります。従って約定に応じて取引手数料がかかります。 取引手数料は一律ではなく、取引する証券会社によって異なるので注意が必要です。下表はネット証券会社の手数料を比較したものです。証券会社によってかなり手数料が異なるのが分かるかと思います。ちなみに筆者は松井証券を主に使っています。1日で50万円以上の取引をする事はまず無いので、それであれば手数料が無料で済む松井証券がベストであると考えたからです。多分、ここは人それぞれだと思いますので、自分のスタイルに合致した証券会社を選びましょう。

株価を評価するための指標

株価を評価するための指標(株価指標)とは、企業の株価を比較、評価する際に用いるさまざまな尺度の事を言います。以下に代表的な株価指標を挙げて見ましょう。

・配当利回り
 投資(購入)金額に対する配当金の割合を示す指標で、高いほど良い
(配当金を沢山もらえる) という事になります。

   配当利回り(%) = 1株当たりの配当金 / 株価 × 100

・配当性向
 税引後の純利益がどれくらい配当に回されているかを示す指標で、
 高いほど良い(利益に対する配当の割合が高い)という事になります。

   配当性向(%) = 配当金総額 / 当期純利益 × 100

・株価収益率(PER)
 株価が1株当たり税引後利益の何倍まで買われているかを示す指標です。

   PER(倍) = 株価 / 1株当たりの当期純利益

・株価純資産倍率(PBR)
 株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているかを示す指標で、
 企業の解散価値(資産価値)を示します。
 (1株当たりの純資産(BPS)は純資を発行株式数で割って求めます)

   PBR(倍) = 株価 / 1株当たりの純資産

・自己資本利益率(ROE)
 自己資本に対してどれだけ利益を上げたかを示す指標で、
 高い方が効率の良い企業である事を示します。

   ROE(%) = 当期純利益 / 自己資本 × 100

・総資本利益率(ROA)
 企業が集めたお金の総額に対してどれだけ利益を上げたかを示す指標で、
 高い方が効率の良い企業である事を示します。

   ROA(%) = 当期純利益 / 総資本 × 100

株価指数
株価

株価指数とは、取引所全体や特定の銘柄群の株価の動きを表すものです。あくまでも全体の値動きを示すものであり、売買しようとする株式の値動きではありませんので注意をして下さい。この指数を見ると、日本または世界の経済状況を概ね知る事ができます。

日本の代表的な株価指数
・日経225(日経平均株価) ・TOPIX(東証株価指数) ・JPX日経インデックス400 などがあります。

米国の代表的な株価指数
・NYダウ ・ナスダック総合 ・S&P 500 などが有名ですよね。

株価指数は株式取引の指標として用いられるだけでなく、投資信託のベンチマーク、先物取引の際の原資産としても用いられています。
下の図はここ半年間の日経平均株価の推移を示したものです。昨年から続いていた驚異的な株高も、4月をピークに徐々に後退局面に転じているのが分かると思います。(米国株はまだまだ上昇中なんですけどね)

全体を通じて
最後に

さて、ここまで4回に分て「初めての株式投資」と題して説明をさせていただきました。株式投資は難しい、怖い、リスクが高い、多額の資金が必要、素人は無理・・というイメージが強いと思いますが、少し勉強するだけでも、かなり改善したのではないでしょうか。確かに何も知らない状態で始める事はあまりにも無謀としか言えませんが、今回説明させていただいた程度の基礎知識があれば、それほど怖い事ではありません。とは言っても、いきなり任天堂株の株購入はダメですよ。まずは少額投資できるミニ株制度を使って株取引デビューしてみる事をお勧めします。お勤め先に持ち株会の制度があれば、持ち株から始めて見るのも良いかもしれません。迷った場合は遠慮なくFPに相談してみて下さいね。

誰でもFP相談室 村上

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