会社員が退職した場合の健康保険は3種類
会社を退職したら健康保険はどうなる?
前回、会社員が加入する健康保険(被用者保険)ついて簡単に説明をさせていただきました。では、会社員が会社を退職した場合はどうなるのでしょうか?当事務所でも会社を定年退職した場合や、少し間を置いて継続雇用や再就職する場合の健康保険制度の質問は非常に多い分野ですので、ここはしっかりと押さえておきましょう。
健康保険の判断フローチャート
下図は75歳未満の者が会社を退職した場合に加入する健康保険の判断フローチャートです。ちなみに何故75歳未満か?と疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、75歳以上の場合は問答無用で後期高齢者医療制度への加入になるからです。
75歳未満の者が会社を退職する場合、まずはそのまま間を置かず再就職するか否かを判断します。
ケース1
例えば、3月31日に退職して、4月1日から別の会社に中途入社する場合や、4月20日に定年退職をして、4月21日から再雇用で働く場合などがこれに該当します。この場合、再就職先(再雇用先)の健康保険に加入する事になります。非常に簡単で分かりやすいですよね。
ケース2
次に再就職はせずリタイアする場合や、個人事業主として独立する場合を考えてみましょう。この場合、個人で健康保険に加入するのが一般的です。ちなみに、リタイアする場合など、その後の収入が著しく減少し、家族の被扶養者として加入できる場合もありますが、収入制限などの条件がありますので、厚生年金受給者の場合は選択肢から外れる可能性が高いと思われますので、今回は選択肢から除外して考えます。選択肢としては国民健康保険に加入するか、引き続き退職元の健康保険に2年間加入する(任意継続被保険者)方法があります。この任意継続については別途詳しく説明する場を設けたいと思いますが、任意継続被保険者になった方がメリットが多いので、この制度を選択される方がほとんどだと思われます。任意継続期間の2年間が終了した後には国民健康保険に加入する事になります。
ケース3
さて、少々複雑なのが退職(定年退職)から中途入社や再雇用されるまでの期間が空く場合です。例えば、4月11日に定年退職をして。4月21日に再雇用で働く場合を考えてみましょう。4月21日からは再雇用先の健康保険に加入する事になるので問題はありませんが、問題は4月12日から4月20日の9日間が空白になってしまいます。国民皆保険制度であるので、1日であっても空白がある事は許されません。たとえ1日であっても何らかの健康保険に加入する必要があります。選択肢は基本的にはリタイヤや個人事業主として独立する場合と同じです。国民健康保険に加入するか、引き続き退職元の健康保険に2年間加入する(任意継続被保険者)方法です。任意継続被保険者になる場合で注意したい点は、たとえ9日間であっても一カ月分の健康保険料を負担しなければならない点、またこの期間は全額自己負担になる点です。(通常は事業主が半額負担します)健康保険は日割りという考えが無い為、4月は退職まで加入していた健康保険料一カ月分と、任意継続保険料一カ月分(保険料は倍額)を一度に負担しなくてはならない事になります。従って、この9日間だけは面倒でも国民健康保険に加入する事をお奨めします。何故ならば、国民健康保険の保険料は月末時点で加入していた場合に請求される為です。つまり、4月21日からは再雇用先の健康保険に加入する事(国民健康保険は脱退する事)になり、月末時点では加入していない事になる為、実質負担はゼロになるからです。
最後に
いかがでしょうか、会社員が退職した場合の健康保険制度は理解できたでしょうか。非常に複雑で分かりにくい為、疑問に思ったら遠慮せずに当事務所までお問い合わせ下さい。初回無料相談(1時間)内でご説明可能で相談費用はかかりませんのでご安心下さい。
誰でもFP相談室 村上
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