投資するなら米国株がお勧めな訳
目次
はじめに
この記事を読んでいただいている読者の皆さん、色々な方法で資産を増やす努力をされているのではないかと推察いたします。特に退職金を受け取った方にとっては、その運用方法は悩ましいところです。虎の子の退職金ですから、老後資金として安全は担保したいけど、ただ預金しておくだけでは増えないし・・・やはり資産運用として一番ポピュラーな方法は株式投資(投資信託も含む)ではないでしょうか。そこで、今回は株式投資をする場合の投資先と(特に米国株がお勧めなのですが)その理由を含めて考えてみたいと思います。
ここ2年間だけ見ると日本も米国も上昇?
まず最初に、ここ最近の日米株価の推移を見て見ましょう。下図は日米で代表的な株価指数であるTOPIXとS&P500の株価で、2020年1月を100とした時の株価の推移を示したものです。日本株も2020年3月のコロナショックの急落以降は上昇している様には見えますが、米国株に比べたら増加率は大したことは無さそうです。TOPIXは急落前から15%増、S&Pは急落前から45%増と、この2年間で30%の差をつけられているのが現実でした。
30年間で見ると圧倒的な差
さらに 日米株価の推移を過去30年まで広げて見ると、日米間で圧倒的なパフォーマンスの差が明らかになります。下図は1990年1月を100とした時の株価の推移を示したものです。TOPIXは30年でほとんど増えていませんが、S&P500は30年で実に約9倍まで上昇している事がわかります。
仮に1990年1月に100万円を日米株に同時に投資した場合、31年後の2021年時点では
米国株は1305万円、日本株は115万円と10倍もの差を生じてしまう計算になります。
なぜ米国株は強いのか?
では、何故米国株はこんなに強いのか、要因を考えてみましょう。
1,ハイテクIT企業(GAFAM)の圧倒的強さ
ご存じの通り、GAFAMとは、Google , Apple , Facebook , Amazon , Microsoftの5社の頭文字です。この5社の株の時価総額は560兆円を超えており、これは日本株(東証1部)の総額を上回る規模であり、いかに規模が莫大なのか、想像ができるかと思います。
2,老舗企業の業績の強さ
強いのは上述したハイテクIT企業だけではありません。昔からの老舗企業、例えばジョンソン・エンド・ジョンソン、ビザ、マスターカード、マクドナルド、P&G、コカ・コーラ、ウォルト・ディズニーといった日本でもお馴染みの企業も着実に成長し続けています。
3,経営者の姿勢の違い
米国の企業経営者は株主の為に利益を上げることを最重要視しています。米国企業は常に厳しい競争にさらされ、積極的に企業買収も行なわれています。企業の業績や株価には投資家の厳しい目が向けられ、業績を上げない企業の経営者は容赦なくクビにされてしまいます。一方、日本の企業経営者は従業員の雇用を守ることを最重要視している傾向が強く、建前では株主の利益を重視とは言っていますが、実態は米国には及びません。業績を上げないとクビになる米国の企業経営者、業績はほどほどでも従業員の雇用を守れればクビにならない日本の企業経営者、この違いが株価に現れていると言っても良いでしょう。
人口のお話
ここで少し人口の事も考えてみましょう。下表は2100年までの世界及び主要国の人口の推移予想です。
・日本では既に少子高齢化によって人口減少に転じ、今後も継続的に人口は減り続け2100年には7500万人程度になると予想されています。従って日本経済は縮小傾向であることは間違いありません。
・中国は現在では14億人と最も人口が多い国ですが、今後は日本同様に少子高齢化が進み、2100年には10億人程度になると予想されています。経済規模は米国に次ぐ大きさながら、中国は共産主義であること、政治的にも不安要素が大きいことから、投資対象としてはリスクが大きいと言わざるを得ません。
・インドは2030年には中国を抜いて最も人口が多い国になると予想されています。中国とは違って共産主義ではありませんが、どの新興国でも共通に言える事は、政治的に安定していない点、インフレになる可能性が高いなど、先進国に比べるとリスクが大きいと言わざるを得ません。
・米国は移民も多い事から、今後も継続的に人口は増加すると予想されています。先進国なので政治的にも安定しており、人口、経済規模も大きくリスクが少ない点から、やはり投資の対象としては魅力的な国と言えるでしょう。
米国株式市場の大きさは圧倒的
では、次に株式市場そのものの規模について見てみましょう。下図は全世界株式に占める各国の割合を示したものです。アメリカ株の割合は実に61%、第2位の日本株の割合いはたった6%しかありません。それもそのはず、先にお話した通り、GAFAMの5社の時価総額が日本株全体を上回るのですから、当然といえば当然なのかもしれません。
下図は米国株と他の先進国株を比べた図です。米国株は他の先進国と比較しても圧倒的なパフォーマンスである事がわかるかと思います。
下図は新興国株と他の先進国株を比べた図です。先進国株と比較して新興国株は政治的・インフレのリスクが大きく、まだまだ市場規模も小さいため、ちょっとした資金流入や流出の影響が大きく変動する要因もあり、投資対象としては不安が残ります。
米国株式の主な株価指標
ここで、米国株の株価指標のお話を付け加えておきましょう。代表的な株価指標は3つです。
NYダウ
NYダウはアメリカで最も古い株価指数であり、正式名称を「ダウ工業株30種平均」と言います。米国市場に上場している企業から、ダウ・ジョーンズ社が成長性や投資家の関心の高さなどを踏まえて選んだ30銘柄で構成されています。日本の株式市場で言えば、日経225みたいな指数と考えても良いでしょう。
ナスダック総合指数
ナスダックに上場している全銘柄を対象としています。1971年2月5日の時価総額を100として算出しています。日本で言うと1968年1月4日の時価総額を100とするTOPIXに近いイメージと考えても良いでしょう。
S&P500
S&P500は、NYSEとナスダックに上場している企業から代表的な500銘柄をスタンダード・アンド・プアーズ社が選定して算出する株価指数です。米国を代表する2つの株式市場から500社を選んで指標化している点が特徴と言えます。S&P 500は最も有名な米国の株価指標であり、機関投資家の運用実績を測定するベンチマークとしても利用されています。
米国株に投資するのであれば何がお勧め?
さて、ここまでの話で米国株に投資するメリットは十分に理解していただけたかと思います。では、実際に米国株に投資する場合、どの様な投資手段が良いのでしょうか。
目的が老後資金などの資産形成であれば、S&P500、ナスダック総合指数、NYダウに連動するインデックスファンドを購入するのがお勧めです。もちろんGAFAMや米国老舗企業などの個別銘柄を購入する方法でも良いのですが、日本に居ながら米国の状況を把握して売買するのは素人にはハードルが高いところです。 個別銘柄でインデックスファンドを長期的に上回るのはプロでも困難と言われていますので、ここはやはり運用はプロにお任せできる投資信託がお勧めだと考えます。
投資方法は一括よりも積立の方をお勧めします。若い世代の資産作りはもちろん、退職金を受け取った直後の世代の方でもまだまだ時間はあります。積立投資は時間を味方にできる点がメリットであり、株価の下落はむしろチャンスでもあり、極端な事を言えば放ったらかしでも構いません。ドルコスト平均法のメリットを活かしましょう。
最後に
今回は「投資するなら米国株がお勧めな訳」というテーマで考えてみました。日本人、特に投資初心者には海外株に投資する事はハードルが高いのかもしれません。かくある筆者も投資を始めた頃は、日経225に連動するインデックスファンドや日本株に投資するファンドを中心に購入していました。日本株なら安心、海外株は不安、といった個人的な勝手な理屈と感情だけで選んでいたのが実態でした。でも、今回の様に米国株の事を少しでも理解できたら不安は安心に変わりました。実際、投資信託であれば運用はプロにお任せですから、日本株のファンドと全く変わらず運用もできています。せっかく投資するのであれば、少しでも運用成績の良い投資先を選ぼうではありませんか。
誰でもFP相談室 村上
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