住宅ローン減税の控除率縮小 0.7%になるかも
目次
はじめに
今朝(11月18日)の読売新聞オンラインにこんな記事がありました。
「住宅ローン減税」控除率縮小、自民・宮沢氏「1%からの引き下げは間違いなくやる」
政府・与党は来年(2022年)の税制改正で住宅を購入した際の「住宅ローン控除(減税)」を見直す方向で検討に入ったとの事が報じられていました。当事務所でも住宅ローンに関する相談は非常に多く、お客様の関心は非常に高い内容です。そこで今回は、そもそも 「住宅ローン控除(減税)」 とは何かを含めて、この課題について考えてみたいと思います。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン減税(控除)制度は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。正式名は「住宅借入金等特別控除」と言い、確定申告をすると税金の控除の適用を受ける事ができます。
住宅ローン控除の主な要件
・住宅ローンの返済期間が10年以上であること
・自ら所有し居住する住宅であること
・住宅の床面積(登記簿面積)が50平米以上
・床面積(登記簿)の1/2以上が居住用であること
・住宅取得から6ヶ月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること
・控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下
・中古住宅の場合、以下のいずれかを満たすものであること
木造:築後20年以内
マンション等:築後25年以内
一定の耐震基準を満たすことが証明されるもの
既存住宅売買瑕疵(かし)保険に加入していること
控除できる金額の計算方法
住宅ローン減税によって控除できる額の計算方法は、取得した物件の消費税率によって異なります。
消費税8%の物件を取得した場合
入居期間:2014年4月1日~2021年12月31日までに入居
控除期間:10年間
控除額
1~10年目 4000万円までのローン残高×1%(最高40万円)
消費税10%の物件を取得した場合
入居期間:2019年10月1日~2020年12月31日までに入居
控除期間:13年間
控除額
1~10年目 4000万円までのローン残高×1%(最高40万円)
11~13年目 住宅取得等対価の額-消費税額(上限4,000万円)}×2%÷3
のどちらか少ない方
住宅ローン控除に必要な書類
住宅ローン控除を受ける為には確定申告が必要となります。ただし、確定申告は初回のみの手間となり、以降は年末調整で済ませることができます。
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・登記事項証明書
・不動産売買契約書(請負契約書)の写し
・借入金の年末残高証明書
・一定の耐震基準を満たす中古住宅に該当する場合は耐震基準適合証明書又は住宅性能評価書の写し
・認定長期優良住宅・認定低炭素住宅に該当する場合は認定通知書の写し
・確定申告書A(個人事業主は確定申告書B・給与所得の源泉徴収票(会社員)
・簡易帳簿(個人事業主)
・還付金受取用口座番号(ご本人名義)
令和3年度税制改正の大綱で対象期間が延長
令和3年度税制改正の大綱で控除期間13年が適用される住宅購入・建築の対象期間が延長されました。
対象者は消費税10%適用の新築・中古住宅の取得を以下の期間に締結し、かつ2022年12月31日までに入居した人です。
締結期間は
・注文住宅の場合は2020年10月1日~2021年9月30日
・その他の住宅の場合は2020年12月1日~2021年11月30日
現行制度の問題点と改正案
住宅ローン控除はコロナ禍で住宅市場、しいては日本経済を下支えする制度として一定の効果が認められる制度ですが、そもそもは取得者の金利負担の軽減を目的としています。ローン残高の1%を控除する制度ですが、昨今の低金利によって金利が1%を割り込むことが多く、控除額が支払利息額を上回る「逆ざや」が起こるケースが生じていました。
会計検査院も19年にこの逆ざやの実態を問題視した様です。現行制度は支払能力の高く多額のローンを組める人ほど減税の恩恵を受けやすいという制度でもあります。
そこで、今回の改正では控除額を一律ローン残高の0.7% とする案が提案されている様ですが、決定するまでには少々時間がかかりそうです。控除率を引き下げる事による住宅市場の冷え込みを回避する策として、控除期間を現行13年間から15年以上に延長する案も検討されている様です。
最後に
現行制度は昨今の低金利によって減税による控除が利息を上回っている事は事実です。しかし、現行制度はコロナ禍の現在の住宅市場を唯一下支えしている制度でもある為、政府・与党には慎重な議論を期待したいところです。お客様の関心の高い話題ですので、今後の検討の行方を見守りたいと思います。
誰でもFP相談室 村上
“住宅ローン減税の控除率縮小 0.7%になるかも” に対して2件のコメントがあります。
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