老齢年金を自分で計算するのは面倒 そんな時はどうすれば良い?
老齢年金とは、高齢になった時に受け取れる年金です。老後の生活を送るにあたって、生活費のメインになる収入となります。老後のセカンドライフに備え、受け取れる老齢年金の種類や仕組みをしっかり押さえ、自分でも受給額を計算できる様にしておくことが理想なんですが、正直、自分で計算するのは非常に面倒です。そんな時は社会保険労務士さんに試算を依頼するか、または我々の様なFP(ファイナンシャルプランナー)に計算方法を教えてもらう方法がありますが、少なからず費用がかかってしまいます。そこで今回は、将来受け取れる老齢年金額を自分で計算することなく簡単に知る方法を紹介したいと思います。
老齢年金とは
老齢年金とは高齢になった時に受け取れる年金であることは大半の方が知っていますが、実はその中身まで正しく理解している方は以外と少ないのが実態です。
老齢年金の全体像、老齢年金の1階部分である「老齢基礎年金」、老齢年金の上乗せ分(2階部分)である「老齢厚生年金」については過去に解説記事を書いていますので、よろしければ下記をご参照下さい。
さて、この様に老齢年金額を自分で計算する事はできるのですが、少々計算は面倒ですよね。そこで、計算をしなくても知る事ができれば良いのですが、いったいどの様な方法で知る事ができるでしょうか。
ねんきん定期便で知る方法
ねんきん定期便には、これまでに納付した保険料などの大切な情報が記載されています。全ての内容をしっかりと把握することが理想ですが、なかなか難しいところがあります。そこで、まずは最低限、2つのポイントだけは押さえておきましょう。
50歳未満の方用
50歳以上の方用
①年金加入期間
国民年金や厚生年金の加入履歴が記載されています。将来、老齢年金を受け取るためには、保険料を納めた期間と免除された期間を合算して120月(10年)以上が必要です。
②将来の年金見込み額(年額)
加入実績や保険料納付実績から計算された将来の年金見込み額が記載されています。
・50歳未満の方の場合
これまでの加入期間に基づいた年金額が記載されています。つまり今、年金を納めることを止めた場合、将来幾らもらえるのか、が記載されていることになります。60歳まで働いた場合にもらえる年金額ではないため、実際の給付額より少ない金額になっています。(正直あまり使い勝手は良くありません)
・50歳以上の方の場合
現在の収入を維持したまま、60歳まで年金に継続加入した場合、将来幾らもらえるのか、が記載されています。つまり、65歳以降に実際受け取る額に近い年金額を確認することができます。(かなり実態に近い金額になります)
ただし、定年が65歳の人や、60歳以降も再雇用等で厚生年金保険に加入したまま働く予定であれば、60歳以降の保険料納付による年金額の増加分はわかりません。また、50歳以上・未満いずれの場合でも、転職や早期リタイアなど大きな働き方の変化を考えている人にとっては、残念ながらねんきん定期便のみで将来の年金額を知ることは困難ですので、この様な時はFPに相談するか、次に紹介する「ねんきんネット」を使う事をお勧めします。
ねんきんネットで知る方法
日本年金機構が運営する「ねんきんネット」にログインすれば、ねんきん定期便で送られてくる情報をいつでもPCやスマホで見ることができます。マイナンバーカードを持っていれば、マイナポータルから入ることで、ねんきんネットのユーザID・パスワードがなくても利用可能です。
ねんきんネットでは、ねんきん定期便同様の情報が見られる他、今後の働き方を入力する事ができます。
50歳未満のねんきん定期便では不可能だった、60歳まで働いた場合の年金額を試算する事が可能となります。また定年が65歳の人や、60歳以降も再雇用で働く場合の年金額の増額分まで含めて試算する事が可能となります。
公的年金シミュレーターを使う方法
2022年4月25日、働き方・暮らし方の変化に伴う年金額の変化を「見える化」することを目的として、厚生労働省は「公的年金シミュレーター」の試験運用を開始しました。
年金の見込み受給額は、先に紹介した日本年金機構が運用する「ねんきんネット」で試算可能ですが、利用登録が必要で、本人確認のための手続きが必要ですが、この「公的年金シミュレーター」では、IDやパスワードは必要なく、グラフを表示しながら試算できる点、入力した生年月日や年収などの個人情報は記録・保存されない点が特徴です。
残念ながら入力した年収で60歳まで勤務することを前提に算出されるなど、実際の年金額とは必ずしも一致しないことが欠点ですが、手軽に見込み額を知ることができます。まずは公的年金シミュレーターで気軽に試算をしてもらい、次により詳しい年金見込み受給額を把握できる「ねんきんネット」に登録を促す事が目的と言われています。
この「公的年金シミュレーター」の使い勝手については後日報告したいと思います。
誰でもFP相談室 村上