定年退職後の起業を考えよう リタイヤするには早すぎる現実

起業

はじめに

この記事を読んでいただいている読者の皆さんは多分、50代後半であと数年で定年退職を迎える方や既に定年退職を終えた方がメインではないかと思われます。人生100年時代と言われて久しい現代、厚生労働省が発表した最新の平均寿命によると男性は81.41歳、女性は87.45歳です。男性の場合でも60歳で定年退職をした後、実に20年以上も余命がある訳ですが、この期間をただ単に年金を貰いながら貯蓄を取り崩してゆくだけの生活で良いのでしょうか。そこで今回は定年退職後の事について少々考えてみたいと思います。

退職金の現実を知る

退職金

定年退職後の事を考える前に、まずは生活の元となる資金でもあり、最も比重が高いと思われる退職金の事について触れておきましょう。そもそも退職金とはどんな制度なんでしょうか。退職金制度とは一般的に定年退職を迎えた従業員に退職金を支給する制度ですが、必ずしも法律で支給しなければならないとされているものではありません。退職金制度は企業独自の制度であるため、金額なども各企業が自由に設定しています。また、日本企業でも導入している企業としていない企業とに分かれる様です。退職一時金でもらう場合と退職年金でもらう場合がありますが、今回は一時金でもらうと想定して考えてみます。厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 」によると、定年退職時の退職金平均は、大学・大学院卒で1,983万円だそうです。

定年退職後の生活で必要な資金は?

定年

では定年退職後、仮に夫婦ともに100歳まで生きるとして65歳で退職した場合の残りの人生は35年です。この数字をもとに老後にどの程度のお金が必要なのか計算してみましょう。
総務省の実施している高齢夫婦無職世帯の家計収支(2019年)によれば1ヵ月の平均支出は約27.1万円でした。また、平均的な収入は月額で約23.8万円でした。
従って、65歳以上の収入が年金だけの場合、月に3.3万円ほど不足する計算となります。つまり、65歳から90歳まで25年間の生活費(不足分)として
 3.3万円(月額)×12ヵ月×35年=1,386万円
の老後資金が必要です。これは前出の退職給付額の平均よりも少ないので、退職金制度のある企業に勤めている人は何とかなりそうですね。ただし、この数値はあくまでも平均的な場合であり、個々のライフスタイルによっては足りない場合も考えられますので、注意をして下さいね。

定年後をどう過ごすのか?

今までできなかった趣味に没頭する生活を送るとか、精力的にボランティア活動をするなど、目的がある方は別として、何も目的もなくリタイヤすると、いずれはやる事がなくなり、老化 を早めてしまうと言われています。人間、目的や役割があって初めて生きてゆく活力、モチベーションを維持できるのです。社会的には60歳から65歳へと定年制度が実質的に延長され、将来的には70歳まで引き延ばされることになっています。しかし、引き続き働きたいと考えている人には、会社勤めを延長するのではなく、起業して新しいことに挑戦するという選択肢もあるでしょう。そこで、収入も得ながら自分のやりたい仕事に取り組む方法として「起業」という選択肢を考えてみましょう。
マイナビ独立が公開している起業に関するアンケート調査の結果、起業に関心があると回答した人(男性の場合)は、20代で57.4%、30代で55.8%、40代で49.8%、50代で46.0%、60代でも36.5%という結果でした。60歳以上の方の実に3人に1人が起業に関心を持っている事がわかりました。

起業をする上で注意したい事

注意事項

では起業する場合注意点について考えてみましょう。

何で起業するのか

最も重要なのは、何で起業するのか(何をするのか)でしょう。これが決まらない事には何も始める事はできませんよね。
定年退職後の起業で最も人気がある分野は、会社員時代に培った経験・人脈を活かした起業が多いそうです。例えば分野別・業界別のコンサルタント業や営業代行です。筆者が会社員時代に始めたFP事務所も個人の資産形成を目的としたコンサルタント業ですので、まさにこれに合致します。
その他、飲食業もシニア起業に多い業態です。シニアのなかには、将来的にラーメン屋や定食屋、カフェなど開業してみたかったという人も多く、長年の夢を実現する形で飲食店を開業するケースもあります。
また、不動産を保有しているシニアの場合は、土地の有効活用の一環としてホテルなどを建設し宿泊業に参入するケースもあるといわれています。

資金をどの様に確保すれば良いか

程度の差はありますが 起業においては、ある程度まとまった資金が必要となります。資金面で不安を感じている人や、資金調達の難しさから起業に踏み切れないという人も多いと思われます。
筆者が始めたFP事務所は ネット専業のコンサルタント業 であり、起業するにあたり開業資金は最小で済む分野でしたが、それでもある程度の資金は必要になりました。
例えば、
資格を取得・維持する為の費用
 通信教育費、教材費、試験取得費、交通費、登録諸費用、加入団体の年会費など
ネット事務所を構築する為の費用
 新規PCの購入、モバイル通信機器の購入費、レンタルサーバー契約費、メルマガ配信契約費など
総額でやはり20万円前後はかかっているかもしれません。
飲食業や宿泊業を行う場合は、数百万円規模の資金が必要になるのは言うまでもありません。

起業資金を準備は

NISA

起業資金を準備する方法は色々ありますが、銀行などの金融機関から融資を受ける場合、事業計画書の作成と、一定の自己資金が必要と言われています。起業する場合、概ね総資金の最低3割程度を準備しておきたいところです。
自己資金を準備する方法として、退職金をあてる方法も考えられますが、それでは老後の生活資金が安定になってしまいます。そこで活用したいのが投資です。定年後の起業を考えるのであれば、現役のうちに積み立てNISAなどを活用して、準備しておくことが良いと思われます。
ちなみに通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり税金がかからなくなる制度なんです。
この様な優遇制度を使い、定年退職後の起業に備えて資金を準備する様にしましょう。当事務所ではお客様に最適と思われる資金作りを提案させていただきます。

誰でもFP相談室 村上

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