太陽光発電のメリットとデメリット

太陽光
はじめに

 昨日のNHKニュースで、政府が新築住宅に太陽光発電装置の設置を義務化する検討を始めたと報道があった事をきっかけに、太陽光発電の損得勘定について考えてみました。我が家の発電実績を元に計算した結果、現時点でおよそ8年で元がとれる見込みであり、その導入効果は高いという事をお話させていただきました。(記事はこちら「新築住宅への太陽光発電の設置義務化と損得勘定」)

 この結果だけを見ると良い事だけの様に感じてしまいますが、果たしてデメリットは無い(無かった)のか、導入して12年になる現在で検証してみたいと思います。

太陽光発電のメリット
メリット
1)電気料金の削減効果

 最大のメリットは、太陽光発電でつくった電気を自分の家で消費することによる光熱費(電気料金)の削減効果です。 日中の時間帯は太陽光で発電した電気を使用することで、電力会社からの電力購入量を削減する事ができます。 主に電力会社から購入する時間帯は発電しない夜は夜間割引が適用されるので、さらに電気料金の削減効果も期待できます。

下図は我が家で導入した翌年(2010年)の電気料金の実績です。 導入前には年間約18万円もの電気料金を支払っていましたが、導入後はFIT(固定価格買取制度)により1kWhあたり48円で買い取ってもらったおかげで約4万円ほどのプラスとなりました。
18万円+4万円で約22万円の導入効果があった計算になります。

この結果を現在(2021年)の売電価格(1kWhあたり19円)で計算してみると以下の通りとなります。売電価格が下がった現在の支払は約6万円ほどになりました。
18万円 – 6万円で約12万円の導入効果があった計算になります。

2)余った電気は売る事ができる

 太陽光発電でつくった電気は、自分の家で使用されますが、 使いきれなかった電気(余剰電力)は電力会社に売ることができます。

下図は我が家で導入した翌年(2010年)の売買実績です。夏場は発電する量が多く、使う量は少なくなるので、売電が上回ります。逆に冬場は雪などの天候に左右される事が多く、発電する量は極端に少なくなり、また暖房などで使う量が多くなる為に、買電が上回る事になります。1年間で考えると買う量の方がやはり上回っていました。

3)停電時でも電気が使える

 太陽光発電を設置することで、災害時や停電時に発電した電力を使用する事ができます。 自立運転機能付きのパワーコンディショナー、または蓄電池を設置した場合に限られます。 自立運転機能付きのパワーコンディショナーの場合は、日中の発電している時にしか使えない点、発電量以上は使えない点に注意する必要があります。 また、発電していない夜間に使う為には蓄電池の設置が必要になりますが、高額な設置費用がかかる点にも注意が必要です。

4)CO2削減効果がある

 太陽光発電は、基本的に発電時にはCO2の排出が無い「クリーンエネルギー」です。 また太陽光で発電した電力を自家消費することにより、電力会社からの購入電力量も削減できる為、さらにCO2削減に貢献する事ができます。

5)パネルによる断熱効果がある

 屋根に太陽光パネルを設置する場合、遮熱効果も期待できます。夏場は屋根の表面温度を下げることになり、エアコン使用量も少なくする事ができます。また冬場は熱が逃げにくくなるため暖房費の節約にもなると言われていますが、冬の厳しい長野県の場合は残念ながら体感するほどの効果はありませんでしたので、あくまでもおまけ程度と考えた方が良いかもしれません。

太陽光発電のデメリット
デメリット
1)設置費用がかかる

 当然といえば当然ですが、太陽光発電の設置費用がかかる点が最大のデメリットとなります。設置費用は一般的な家庭では100万円を超える事が普通であり、気軽に設置できる様なものではありません。ただし、太陽光発電の普及に伴い、設置費用は年々低減傾向にあります。 

我が家で太陽光発電を設置した2009年の設置費用は1kWあたり57.5万円でしたが、2019年には26.6万円と半額以下に低減しており、以前よりも導入しやすくなってはいます。

2)FIT(固定価格買取制度)による売電価格が年々減少

 2009年(産業用は2012年)からは始まった太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)ですが、 開始した当初から現在にいたるまで、売電価格は毎年下がり続けています。

我が家で太陽光発電を設置した2009年には1kWhあたり48円で買い取ってもらえましたが、現在(2021年)は19円になっています。この傾向は今後も続くものと予想されます。この数値だけで考えてしまうと、太陽光発電を導入しても採算がねえ・・となってしまうでしょう。

3)FIT(固定価格買取制度)による売電期間は10年間

FIT(固定価格買取制度)による固定価格で売電できる期間は10年間と決まっています。従って2009年に太陽光発電を設置した我が家では2019年に48円での売電は終了しました。終了後はどこに売電しても自由ですが、概ね1kWhあたり7円~8円といったところが相場の様で、当初の48円と比べたら無いに等しい価格になってしまいました。従って、設置10年以降は太陽光で発電した電気は売る事から使い切る事にシフトする方針変更が必要となります。つまり太陽光で発電している昼間のエネルギーは、できるだけ発電した電気を使いきり、他のエネルギー(ガスや灯油など)の消費を抑えるという方法です。

4)メンテナンス費用が掛かる

 太陽光発電は可動部分が無い為、メンテナンスフリーの様に思われますが、 パーツの交換が必要になる事があります。太陽光発電システムは太陽光パネル、パワーコンディショナー、配線類で構成されています。この中で特に交換が必要とされているのがパワーコンディショナーで、保障期間を過ぎた場合は高額になる事が予想されます。幸い12年が経過した我が家の場合、未だ部品の交換は発生はしていません。

5)太陽光発電は夜間、悪天候時には使えない

 当然ですが、太陽光発電は太陽光のエネルギーで電気を作ります。従って太陽光の無い夜間には発電する事ができません。また発電量は天候にも左右されます。 曇りや雨の日の発電量は著しく低下しますし、降雪があれば融けるまではほとんど発電はしません。蓄電池を別途設置して、昼間に余った電力を夜間や悪天候時に使うという方法がありますが、蓄電池の設置には高額な出費が必要とされるので、費用対効果を十分に検討する事が必要でしょう。

まとめ
ポイント

 太陽光発電を設置するする事の最大のメリットは電気料金の削減ができる点です。設置費用も以前に比べるとかなり低減しているので導入し易くなってきました。設置費用は2021年時点で、およそ10年以内には元がとれる(費用回収できる)見込みですので、皆さんも設置を検討してみたらいかがでしょうか?

誰でもFP相談室 村上

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