令和8年度税制改正で変わるNISA 〜0歳からのつみたて投資(こどもNISA)と国内株式指数の拡充〜

はじめに — NISA制度と税制改正の全体像

NISA(少額投資非課税制度)は、個人が株式・投資信託等に投資する際の配当所得・譲渡所得を非課税にする制度として2014年に導入されました。2024年(令和6年)には「新NISA」として恒久化・拡充され、つみたて投資枠(長期・積立・分散投資重視)と成長投資枠(個別株式・投資信託等)の二本立て制度になりました。
しかし新NISAでも、「つみたて投資枠は18歳以上のみ」という年齢制限が残されていました。令和8年度税制改正では、この点を含む新たな拡充が打ち出されています。これらは将来の資産形成促進を主目的としており、世代を問わずNISAを使いやすくする施策です。

NISAつみたて投資枠の年齢制限撤廃 — 「こどもNISA」の創設

1)改正の背景と目的

令和8年度税制改正の大きな柱が、つみたて投資枠の対象年齢の引き下げです。これまで新NISAでは18歳以上が対象となっていましたが、この条件が撤廃され、0歳から17歳までの未成年者もつみたて投資枠を利用可能となります。この改正の背景には、以下のような政策目的があります。
・世代を問わない資産形成機会の創出
 早期からの投資による長期資産形成を促し、教育費・住宅費・老後費用など将来の支出に備えられることを狙いとしています。
・ジュニアNISA廃止後の穴埋め
 旧制度のジュニアNISAは2023年末で廃止されたため、その後空白となっていた未成年者向けの非課税投資機会を再整備する狙いです。
・家計全体での「貯蓄から投資へ」を後押し
 積立投資を教育資金準備と結びつけることで、貯蓄一辺倒の資産形成から投資も含めた多角的な資産形成へとシフトさせる政策意図があります。

2)「こどもNISA」制度の概要

改正により、つみたて投資枠が未成年者に解禁されることで、新たにいわゆる「こどもNISA」が事実上創設されます。主な制度設計は次の通りです

① 利用可能年齢
 0歳〜17歳までの未成年者が対象。従来は18歳未満は対象外だったため、出生直後からの利用が可能になります。

② 年間投資上限額
 年間投資限度額は60万円に設定されます。この金額は、成人のつみたて投資枠(120万円)の半分となっていますが、未成年者の資産形成開始を促す意味合いがあり、18年間継続すれば最大600万円の非課税投資が可能になります。

③ 非課税保有限度額

非課税保有限度額は600万円。
累計で600万円までの投資元本について、配当・譲渡益が非課税となります。

④ 払出し制限とルール

払出し(引き出し)は原則として12歳以降、本人の同意書類提出のもとで可能となります。これは旧ジュニアNISAでの過度な
引き出し制限が課題となった点を踏まえ、利用者(家族)の柔軟性も高めた設計です。

⑤ 18歳到達後の移行

未成年の口座で保有していたつみたて投資枠は、18歳に達すると自動的に成人の新NISA口座へ移行します。これにより、成人後の資産形成の継続がスムーズになります。

「つみたて投資枠」対象商品の拡充

令和8年度税制改正では、未成年向けの年齢拡大に加えて、つみたて投資枠で投資可能な商品そのものが拡充されます。
主な内容を以下に整理します。

1)対象インデックスの拡大 — 国内株式指数の追加

これまでつみたて投資枠の対象となる投資信託は、金融庁が告示する指数に連動するものに限られていました。(例:TOPIX、日経平均など)しかし改正により、新たに国内市場を対象とした株価指数が指定対象に追加されます。それが、読売株価指数(読売333)、JPXプライム150指数の2つの指数です。
読売株価指数は、売買代金の上位企業を対象とする株価指数で、浮動株調整後の時価総額に基づき企業を抽出します。
JPXプライム150指数は、東証プライム市場の中から選定された「稼ぐ力が高い」企業群を反映する指数です。
この追加により、国内株式市場の多様なセグメントへの投資機会が拡大します。既存のTOPIXや日経平均に加えて、異なる構成・特色を持つ指数が選べるようになるため、投資目的に応じた銘柄選定が可能となります。

2)単独指定指数活用の緩和

従来、指定インデックス投資信託の対象指数に関しては、複数の指数を組み合わせないと利用できないケースがありました。改正後は、単独の指定インデックスとしても利用可能とする方向が示されており、指数投信の選択肢が広がります。

3)株式・債券の混合投資信託の活用

これまでつみたて投資枠で対象となるのは「主に株式を対象とする投資信託」に限られていましたが、改正後は株式と公社債(債券)の両方を対象とする投資信託も対象になります。これにより、 債券中心やバランス型といったリスクが比較的低い投資信託が選択できるようになり、リスク許容度の異なる投資家層(初心者・高齢者など)にも配慮した選択肢が提供されます。

4)ETF等の活用と手数料の見直し

同時に、ETF(上場投資信託)等でつみたて投資が可能になる方向で検討されています。また、定期売却サービスにかかる手数料の徴収が認められるなど、投資実行時の柔軟性・利便性向上にも配慮されています。

改正の政策的意義と投資家への影響

1)若年層の資産形成支援

つみたて投資枠の年齢制限撤廃は、これまで金融資産形成が難しかった若年層に非課税投資機会を提供するものです。出生直後から長期の時間を使って積み立て投資ができるため、長期複利の効果を最大限に活かした資産形成が可能になります。またこれにより、教育資金や将来のライフイベント(住宅購入・結婚費用等)に備えた準備が非課税でできるようになり、家庭単位での資産形成戦略が大きく変わる可能性があります。

2)投資商品の多様化によるリスク分散

つみたて投資枠で利用可能な対象商品の拡充は、特に国内株式や債券を含む投資信託まで範囲を広げる点で、リスク分散や投資方針の多様化につながります。これにより、投資初心者だけでなくリスクを低く抑えたい層にも投資機会が広がります。

3)市場への長期的な資金流入

NISAを通じて長期的に資金が市場へ流入することは、国内資本市場の厚み強化にもつながります。特に国内株式指数を対象とした積立投資が増えることで、日本株式市場への個人投資家の関与が高まり、資本市場の活性化が見込まれます。

最後に — 令和8年度税制改正がもたらすNISA制度の進化

令和8年度税制改正は、NISA制度を次のステージに導く世代超えた資産形成支援の大改革です。つみたて投資枠の対象年齢を0歳まで拡大する「こどもNISA」の創設は、投資機会の切れ目をなくし、早い段階からの長期投資を促します。また、つみたて投資枠で対象となる商品群の多様化により、これまで以上に多彩な投資戦略が可能になります。これらの改正は、投資初心者から経験者まで幅広い層がNISAを通じて資産形成に取り組むための足がかりとなるでしょう。

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