現物不動産投資は有りか無しか FIREには最適の手段?
始めに
最近ニュースなどで話題の「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」という言葉をご存じですか? FIREとは経済的な自立を実現させて、仕事を早期に退職する事を意味しています。つまり、早期退職をしたとしても安定した収入を定期的に得る事ができれば良い訳で、これには不動産投資が最も良いと言われています。理由は不動産を所有する事で、一定の賃料収入を得る事ができるからです。できれば会社員として働かなくても、毎月決まった額の収入が得られ、これだけで生活ができるのであれば、夢の様な話ですよね。
先日、某銀行さんからREITファンドの紹介を受けた事を機に、ここ数日、不動産投資について考えてきました。前回はJ-REITについて考えてみましたが、今回はFIREを実現する為の最適な方法と言われている、この現物(不動産)投資について考えてみる事にしました。
他の投資手段との比較
まずは現物不動産投資と他の投資手段との違いをおさらいしてみましょう。
現物不動産投資と他の投資手段の圧倒的な違いは、やはり必要になる資金の規模でしょう。他の投資手段では少額(概ね数万円~数十万円程度)から始められるのに対し、現物不動産投資はアパートやマンションの少なくとも最低一室は購入しなければ始める事ができません。共同オーナーになるという手段もありますが、それでもかなりの資金を準備しなければなりません。また、換金する場合には非常に時間がかかるという点、保有しているだけでも税負担や管理費用などのコストが生じる点も大きな違いと言えるでしょう。
現物不動産投資のメリット
では、現物不動産投資にはどの様なメリットがあるのか、考えてみましょう。
1、一定の賃料収入を定期的に受け取れる
老後資金や副収入として不動産賃料収入を得る場合、他の投資手段の分配金が数ヵ月単位の収入に対して、現物不動産投資の場合は毎月賃料収入を受け取ることが期待できます。これは他の投資手段には無い、絶対的な優位性に他なりません。
2、不動資の価格変動は長期であり、目先の一喜一憂が不要です
金融資産には、日々の価格変動があります。一方、不動産の価格にも変動こそあるものの、変化は年単位など長期目線では上昇傾向です。所有者は日々の価格変動に気を遣う必要はありません。
3、家族の将来の生活安定を期待できる
居住用の住まいのほかに賃貸不動産があれば配偶者や子どもたちの将来について自分が亡くなった後も収入面と資産の両面で支えることができます。団体信用生命保険に加入していれば、保険金でローンは完済でききるので、他の投資手段と比較しても優位性が高いと思われます。
4、インフレに強い
現金・預金と比べて不動産がインフレに強いと言われています。インフレになれば貨幣価値は低下しますが、現物不動産はインフレの上昇率と連動して価格が上昇するからです。
現物不動産投資のデメリット
良い事ばかかりではありません、現物不動産投資にはどの様なデメリットがあるのかも考えてみましょう。
1、多額の資金が必要になる
退職金や相続資産運用など全額自己資金で不動産投資を行うケースもありますが、一般的にはローンを組む場合が大半だと思います。FIREを実現する為にはそれなりの賃料収入を得る必要もありますので、ローン額もかなりの額(億単位)になるでしょう。
2、空室リスクがある
現物不動産投資は賃料収入が前提になります。空室が生じると賃料収入がなくなる点が最大のリスクでしょう。購入時に物件の魅力度と空室を最小期間にできる管理会社の選定が非常に重要です。
3、災害リスクがある
災害によるリスクがゼロではない事を忘れてはいけません。確率は決して高いとはいえませんが、自然災害や事故にあった場合、物件の価値が突如ゼロになる事もあります。
4、管理コストが生ずる
物件はノーメンテナンスという訳にはいけません。物件を所有すれば、税金の負担、管理費、修繕費などのランニングコストが生じるので注意しましょう。
5、換金性が低い
他の投資手段は簡単な手続きで換金(解約)が可能です。一方、現物不動産はそう簡単には換金(売却)ができません。現物不動産は一部の例外を除き、一般的には時間とともに価値が低下するので、購入した時の価格以上で売却する事は不可能です。また買い手あっての売却ですので、買い手がつくまでに長い時間がかかる場合や、最悪の場合、買い手がつかない場合もあります。
最後に
現物不動産投資は安定した収入を得られる点、比較的に手間がかからない点などの理由からFIREには最も向いている投資といえるでしょう。良い物件を選ぶことができ、良い不動産管理会社に委託できればより豊かな人生を過ごすことも可能でしょう。一方、空き家リスクや多額の負債を抱えることもあり、良い点だけに気をとられていると、思わぬ失敗を被るリスクがある事を忘れない様にしましょう。
誰でもFP相談室 村上